「モデーア・ショック」消えない波紋 B 報酬未払い、外資MLMでは前例破り

事業終了時に「慰労金」「上乗せ」も


 あらゆる面で異例尽くめだったモデーアジャパンの事業停止。過去2回の連載で追ってきたMLM報酬の未払いについても、実は、前例破りを指摘することができる。過去に日本市場を去った外資MLMのほとんどは、クローズする際に報酬を支払ってきたからだ。  
 まず前提としたいのは、MLMは、消費者マーケットにおいて数あるビジネスモデルの一つに過ぎない点だ。したがって、うまく進めば成長軌道に乗り、経営に苦戦すれば最終的に閉鎖・譲渡などに至る。経済サイクルの理において当然のことと言える。
 ただ、業界の中から見た場合、外資MLMの店じまいは何かと注目を集めやすい。大きな理由の一つが、派手派手しいグランドオープニングの記憶だ。
 例えば、親会社が大きな資本を持ち鳴り物入りで上陸する、海外市場で目覚ましい成長を遂げている、国内資本の同業他社で見られない新商材が持ち込まれる、立派なオフィスを設置する、同業他社からの大型の組織移動をともなう――など。開業イベントに来日した経営トップやリーダー会員のスピーチは洗練≠ウれ、それゆえに明るい前途を抱かせる。
 しかし、ビジネスの芽がないと会員に判断されれば転落は早い。四半期単位で厳しい予算を求めながら、日本法人の切実な意見・要望に耳を貸さず、嫌気のさしたスタッフは去り、会社内部の仕事とフィールドサポートに手が回らなくなる――。そんなケースは全く珍しくない。上陸時とのギャップが際立つこととなり、関係者の間からそれ見たことか≠ニいう声を聞くことになる。
 一方で、見切りをつけて日本から出ていくプロセスは、迅速かつ秩序立ったものとなることが多い。
 一例は、20年にクローズしたネオラジャパン。2月初頭、来日した米本社の国際市場担当社長がスタッフとリーダー会員に直接伝え、翌3月の末をもって雇用契約を終了し、日本のオフィスを引き払った。

(続きは2025年11月13日号参照)