「モデーア・ショック」消えない波紋 C 米訴訟で浮き彫りとなった財務の裏側

報酬削減を伝達、製品供給元に未払い


 日本を去った外資MLMのほとんどが報酬を支払った上で事業を終了してきたところ、未払いという前例破りを起こしたモデーアジャパン。もちろん、米本国を含む全市場の同時クローズという特殊事情は大きかった。しかし、ここでクエスチョンが浮上せざるを得ない。そもそも何故、突然のシャットダウンという前代未聞の事態に至ったかという疑問だ。これを紐解く材料の一端は、米本国における複数の訴訟に窺うことができる。
 訴訟の一つは2年前に提起された。原告は、米モデーアのリーダー会員だったジャスティン・プリンス氏。不当な理由で会員資格をはく奪されたとして、23年10月、モデーア側に損害賠償等を求める訴えをユタ州の裁判所に起こした。
 訴状でプリンス氏側は、400万人以上の顧客を開拓し、累計で25億ドル以上の売上構築に貢献したと主張。事実なら、トップ中のトップ会員だったことになる。コロナ禍の健康特需等を背景に、会社の売上は21年に過去最高を記録。この時点で、現場と経営は順風満帆だったようだ。
 一方、モデーアを所有していた投資会社・Zキャピタルパートナーズが、MLM事業の収益を自社の財務状況の改善に充てたことなどによって、モデーアは負債を膨らませていたという。資格はく奪は、自身の得ていた報酬を資金繰りに回すことが目的だったと主張する。
 訴状によれば、資格を保持していた時、モデーアの取締役会長から、同社の財務状況の悪化と報酬の削減、人員削減の考えを伝えられたという。23年5月、トップ会員を集めたミーティングが開かれた際は、当時のCEOから、財務の更なる悪化と報酬削減の考えを改めて告げられたという。
 投資会社は、モデーアから得た収益のうち1000万ドルをモデーアに戻し、その資金は取引先への支払いや給与に回されたとする。その後、8月にも会長から同様の説明を受けたというプリンス氏は、売上減を招き経営危機を加速させると意見したが、同月に従業員の3割が削減されたという。
 モデーアジャパンの複数の元従業員によれば、23年は日本でも相当数の人員削減が行われている。

(続きは2025年11月20日号参照)