「モデーア・ショック」消えない波紋 D 堅調に見えた事業、経営難察知されず

クローズ後の事業譲渡という不可解


 全世界同時クローズで国内外のMLM業界を驚かせたモデーア。ただ、前回連載で触れた通り、米国の複数の訴訟から、経営難に直面していたとみられることが窺えた。危機的財務は何故、海外のマネジメントクラスや、米国を含むフィールドに察知されなかったのか。大きな理由には、事業自体はある程度堅調だったとみられることが上げられる。
 米国に次ぐ第2の市場を形成していた日本。連載で推計した年商は約50億円(卸ベース)。600億円を超えたピーク時とは比ぶべくもないが、それでも業界で確固たる存在感を示していた。
 売上を支えていたのは、ニューウエイズ時代からの会員を含む愛用層。全会員の8割がカスタマーで、新規もカスタマーが大きな割合を占めた。
 3年前に刷新した定期購入制度「VIPメンバー」は、会員価格から最大27%の割引を実施(当時、都度注文でも同率を割引)。売上の6割を同制度による注文が締め、登録3カ月後の購入継続率は3割超を保っていた。
 美容室を経営するオーナーを中心に、自身の店舗で製品を販売してもらう「エクセレンスプログラム」は、売上の4分の1を構成。販売先は固定客への小売りが主。登録店舗数は1100カ所を超え、MLMに抵抗を示す層にリーチできていた。業界が縮小傾向にある中、その外に収益の柱を持っていた。
 ビジネス活動の巻き返し策にも着手していた。
 昨年末、会社が指名したトップリーダーで構成される「パートナーズカウンシル(仮称)」の発足を計画。各種プロモーション・イベントや、米本社の方針などについて会社と意見交換する諮問機関≠目指していた。 同様の仕組みは20年5月まで存在したが、コロナ禍を境に途切れていた。

(続きは2025年11月27日号参照)