消費者庁が矢継ぎ早、破綻商法対策・法改正検討
「詐欺的商法対策チーム」、首相指示で急遽発足
次長トップに総がかり、大臣「より有効な解決策検証」

▲破綻必至商法への対策を問うた緒方林太郎議員(写真)に対して、高市早苗首相(写真)と黄川田仁志消費者相(写真)は、より有効な解決策を消費者庁中心に検証していくと答弁
首相「有効な被害回復制度ない」
答弁は、緒方林太郎議員(有志の会)の質問に答えたもの。緒方議員は、集めた資金を配当に回す自転車操業で2000億円超の被害を生んだジャパンライフ事件や、かぼちゃの馬車、安具楽牧場、豊田商事を列挙。「手法は極めて類似しているが、(規制する)根拠法が異なる問題点がある」「分野横断的に捉えて対応する仕組みを整えるべき」と問うた。
首相は「破綻必至商法に対する規制は、出資法、預託法、刑法、金融商品取引法といった複数の法律で取り締まられている」「各所管官庁は裁判をすることなく(中略)警告とか業務停止命令で対応してきている」「おっしゃる通り、分野横断的な規制とか有効な被害回復制度がないことは事実」として、前出の答弁で応じた。
首相答弁を引き継ぐ形で、黄川田仁志消費者相は「ただいま総理から指示を受けた」「破綻商法等ですね、悪質な商法がある中で、より有効な解決策がないか、消費者庁が中心となって検証していくこととしたい」と答弁。この1週間後となる同19日、消費者庁内で「多数の消費者に深刻な財産被害を及ぼす詐欺的な悪質商法対策プロジェクトチーム」(以下プロジェクトチーム)なる組織が急遽、立ち上げられた。
消費者委員会の意見書後、動きなく
23年8月には消費者委員会が、このような制度の整備の検討を求める意見書を同庁に提出。が、具体的な動きはなく、現行の消費者基本計画(25年度〜29年度)も検討の必要性に触れていない。
同年11月には、国会で野党議員から、破綻必至商法への具体的対策を問われた自見英子消費者相(当時)が、「事業者の悪質性の度合いに応じた対策について、しっかりと対話を重ねながら検討したい」と答弁するなど、消極的姿勢を崩していなかった。
また、昨年5月、同庁の消費者制度課が委託事業で立ち上げた「消費者被害の拡大を防止するための実効性の高い手法等に関する研究会」は、今春、消費者安全法による勧告等の運用強化に取り組むことが重要などとする報告書を提出。被害防止につなげる注意喚起の効果は、行政が裁判所に差止め命令を申し立てる制度でなくとも、安全法で得ることが可能などとしていた。
