2025年ダイレクトセリング化粧品市場 過渡期にあるサロンビジネス
強まったリブランディングの動き
オンラインの活用に課題

▲旗艦店「ポーラ ギンザ」のリニューアルは新しいサロン展開の起点となるか(ポーラ)

▲コンセプトショップではジェンダーレス≠ナ新しい層にアピール(シーボン)
打開策の模索続く
2025年1月に就任した小林琢磨社長は、販売チャネルを横断したサービスや情報提供、商品を提供する「ポーラ プレミアム パス(PPP)」を軸とした新しい購入スタイルの構築をめざす。現在のところ、委託販売チャネルはポーラブランド売上の6割程度を占めているが、シェアは年々下がっている。一方、百貨店やEC、さらには化粧品専門店といった新しいチャネルのシェアが増加、売上伸長率も委託販売以外のチャネルはプラス傾向が続いている。主力のサロンビジネスでは、オンライン・オフライン両軸の新しい展開をみせつつ、他の販売チャネルで新規ユーザーへの訴求を強める狙いだ。
サロンでは、最高峰ブランド「B.A」を用いた新しい施術を今夏から導入しているが、ブランドのハイブランド路線に伴い施術メニューも高額化しており、「化粧品だけでなくエステも高くなってくると、来店頻度が減ったお客様もいるようだ」(元販売員)。先にも触れたように、営業力のあったベテラン販売員は、コロナ禍を機に引退するケースが続出した。「現場の売る力が低下している中で、さらに高額な商品を販売していくのは、今の人にはなかなか難しいのではないか。デジタルツールをうまく使えれば別なのかもしれないが、古い販売員には難しいと思う」(同)。来年以降、新しいサロンの本格展開がスターとする運びだが、現場との齟齬をどう埋めていくかが課題となりそうだ。
競争激化受けブランド刷新
他の訪販化粧品企業では、節目の年を機にリブランディングの動きが強まった。例えば、サロンビジネスの先駆けの1社であるシーボンでは、2026年の創業60周年というタイミングでプロジェクトを立ち上げ、新コーポレートロゴや新ビジョンの策定を行うとともに、基幹ブランド「フェイシャリスト」の大幅刷新を行ってきた。これまで女性ニーズを中心に展開してきたシーボンだが、東京・六本木の本社ビルにオープンしたコンセプトショップでは、ジェンダーレスを標榜し、男性ニーズをはじめ多様な価値観へアピールできるブランドという付加価値も訴求する。ビジネスモデルの改革にも着手しており、主力の「フェイシャリストサロン」では、リブランディングに伴う店舗改装を実施。
