特商法改正の行方 後出しマルチ「連鎖販売に該当し得る」

過去に経産省が見解→直後に消費者庁発足


 「デジタル取引・特定商取引法等検討会」における議論は、インターネット取引関連のトラブルが先行し、ダイレクトセリング関連は後半となる。テーマは点検商法・レスキュー商法と悪質マルチの大きく二つ。このうち後者に含まれる後出しマルチは、連鎖販売取引規制の盲点≠ついた脱法的営業をどのように防ぐかが焦点となる。しかし、実は過去に国は、後出しマルチが連鎖販売に該当するとの見解を示しており、これを踏まえれば現行法でも連鎖販売として処分できる理屈になる。どういうことなのか。
 特定商取引法における連鎖販売の定義は、@商品の販売・サービスの提供のあっせんをする事業者がA再販売や受託販売、役務の提供などを行う者をB特定利益を得られることをもって誘引しC特定負担をともなう取引を行うこと。
 しかし、後出しマルチは、勧誘の際にBを行わず、契約を締結してある程度の期間が経過したところで、特定利益の件を切り出す。
 たいていの場合、最初に契約した商材・ビジネスでは利益が出ない。「儲からない」と消費者が事業者に相談したところで、他の人を勧誘して同じ商材・ビジネスを契約させれば、報酬(特定利益)が得られると持ち掛ける。時間差の手口で規制の網を潜り抜ける訳だ。

 実質的な後出しマルチが、特商法で初めて処分されたとみられる事例は2008年にさかのぼる。
 事業者は「マイクロシステムテクノロジー」(以下マ社、東京都による処分)。約90万円の競馬投資ソフトを「98.2%の確率で儲かる」などと告げて販売。被害者の98%は20歳代で、購入代金を消費者金融で借金したケースもあった。
 他の人を紹介して契約させれば報酬を支払う連鎖販売のシステムを取り入れており、被害者の大半は、知人等から勧誘されてソフトを購入していた。
 しかし、業務停止命令の対象はマ社の訪問販売事業だった。前述のBを契約後に切り出していたためだ。



(続きは2026年2月12日号参照)