デジタル・特商法検討会 本格論戦、不意打ち・誘引・複雑性を争点に

悪質なSNSチャット勧誘、法規制めぐり応酬
大屋座長 「強すぎず弱すぎない規制」の検討、提示



▲大屋雄裕座長

 2月17日、消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」(以下検討会、座長=大屋雄裕慶應義塾大学法学部法律学科教授)は、悪質なSNSチャット勧誘に代表される「不意打ち性」「誘引性」「複雑性」の高いネット取引トラブルをテーマに、第2回会合を開いた。事務局は、特定商取引法の電話勧誘販売規制を参考とした規律の検討を提案。予想された通り、悪質事業者排除のため規制に賛同する委員と通常取引への悪影響を懸念する委員の間で、意見の応酬がみられた。悪質行為に特徴的な不意打ち性等は、検討会後半で討議される点検・レスキュー商法、詐欺的商材の後出しマルチにおいても大きな論点。ネット取引をめぐる議論は、ダイレクトセリング規制の先行きを見通す上でもポイントとなってくる。

回答者の7割以上
「不意打ち性感じた」

 第2回検討会のテーマとなった悪質なSNSチャット勧誘は、現在、特定商取引法における通信販売の一形態と位置付けられ、いわゆる広告規制がかけられている。
 しかし、トラブルの実情は、一般的な通販(ネット取引含む)のそれと大きく異なる。不意打ち性・誘引性・複雑性という3つの特徴だ。
 不意打ち性は電話勧誘販売や訪問販売など、誘因性や複雑性は連鎖販売取引などに共通する要素。このため、これら類型と同等の勧誘規制を設けるべきという意見が以前より強まっていた。
 その一つが23年の消費者委員会による提言。不意打ち性の強さなどを理由に、電話勧誘販売と同等の規制を求めていた。当時、取引対策課は、SNSチャット勧誘の定義や規制を行うべき法的根拠の必要性などを理由に検討を見送ったが、昨年に方針を転換。今回の重要テーマに浮上した。
 取引対策課は、昨年11月に実施した消費者意識基本調査における消費者アンケートで、SNSチャットで勧誘されたことのあった消費者のうち、7割以上が不意打ち性を感じていたとするデータを説明。勧誘を繰り返し受ける、勧誘目的が示されない、説明が事実と異なる――等のケースも一定数含まれたとした。

電話勧誘販売の
明示義務など例示

 アンケートによれば、勧誘を受けた消費者で実際に購入した割合は1割程度だった一方、そのうち約6割は購入した商品等を「不要に感じたことがある」と回答。SNSチャット勧誘の推定相談件数が過去10年で20倍近く増加しているとした(15年度=467件、24年度=9018件)。
 また、第1回検討会で、執行強化が先決とする意見が出たことに触れて、「現行法で出来ることは一通り行っている」と強調。通販規制に無い、電話勧誘販売の勧誘目的明示義務、再勧誘・威迫困惑の禁止などの規制を例示し、すき間事案化している悪質なSNSチャット勧誘は「見過ごせない課題になっている」として、通販以外の類型の勧誘規制を参考とした規律の検討を論点に示した。
 これに対して、各委員の意見は分かれる形に。大きくは、規制強化に賛同する意見と、通常の取引への悪影響を懸念する意見だ。第1回検討会における、消費者サイドの委員と事業者サイドの委員が互いをけん制するようなやり取りが今回も繰り広げられた。
 規制強化を求めた川野玲子委員(全国消費生活相談員協会専務理事)は、消費生活センターの相談現場における具体例を示し、「不意打ち性が高く、個人情報をいきなり抜き取ってしまう」「DMを使うため密室性が強く、即時性が強く働く」と指摘。



(続きは2026年2月26日号参照)