ダイレクトセリング化粧品 問われる老舗の改革力

老舗4社、回復にバラつき
販売組織の改革で明暗か


 ビジネスモデルの転換期にあるダイレクトセリング化粧品市場では、ここ数年、変革の機運が高まっている。ライフスタイルや購買行動の変化という社会的要因に加え、既存販売組織の高齢化、それに伴う営業網の縮小は、それまで事業の中核を担ってきたサロンビジネスの課題を浮き彫りにした。人と人のつながりを強みとしてきたこのビジネスだが、直接対面に至るまでの動線確保を現代のニーズに合致したかたちで構築することが肝要だ。しかしながら、老舗企業ほど新体制への移行は容易ではなく、組織の老朽化も相まって抜本的な改革は困難を伴う。業績面では徐々に苦境を脱しつつあるものの、全般的には予断を許さない状況が続いている。

堅調に推移するノエビア

 グラフは、ダイレクトセリング化粧品4社(ポーラ、ノエビア、シーボン、アイビー化粧品)のコロナ禍前から現在までの業績推移を示したもの。グラフ1では4社のコロナ禍前の実績を起点とした売上推移を、グラフ2〜5は、各社の売上高および営業利益率を個別に示した(ポーラはポーラ・オルビスHDビューティケァ事業におけるPOLAブランド、ノエビアはノエビアHDにおける化粧品事業)。
 各社の売上高の推移をみてみると、ノエビアを除く3社は、コロナ禍前の2019年〜2020年を起点とした場合、これまでにおいてコロナ禍前の水準には戻っていない。唯一コロナ禍前を上回っているノエビアの化粧品事業は、訪販や全国に約2000店舗展開する「ノエビアビューティスタジオ」で展開するカウンセリング化粧品部門に加え、一般流通のセルフ化粧品を2本柱とする。直近の2026年9月期第1四半期では、化粧品事業の売上高が前年同期比9.4%減の122億7900万円、セグメント利益が同28.6%減の25億2500万円となり、総売上に占める割合は73.0%となった。カウンセリング化粧品では、ロングセラーのスキンケアシリーズ「ノエビア505」をフルモデルチェンジ。ロングセラーの最高峰クレンジングシリーズ「ノエビア エクストラ」2品のリニューアルも実施した。訪販事業では、販売員の高齢化が進んでいるものの、他の老舗企業に比べて現場の組織力低下が緩やかで、対面販売の接点となっている「ノエビアビューティスタジオ」も安定した規模を維持。売上高営業利益率も高い水準を維持しているが、利益率の高いカウンセリング化粧品の貢献度は高いと言える。
 一方、手頃な価格設定と機能性、購入しやすい販売チャネルで展開しているセルフ化粧品では、メイクアップブランド「エクセル」において、大幅なリニューアルを実施した。セルフ化粧品市場は、訪販系化粧品などのカウンセリング化粧品に比べて競争が激しく、またその分需要も大きい。市場の二極化が進む中、商品の投入やリニューアルのサイクルを加速することで、消費者に飽きさせない戦略がより求められている。

ポーラは4期連続1千万割れ

 最大手のポーラは、コロナ禍前をピークに苦戦が続いており、直近の2025年12月期では4期連続の売上高1000億円割れとなり、今期は900億円を下回るおそれもある。営業利益についても、売上減と合わせて減少しており、売上高営業利益率は、2019年12月期から5年で約9ポイントも低下している。リーディングカンパニーとして、長年にわたって市場をけん引してきた同社だが、コロナ禍を機にサロンビジネスの展開がピークアウトし、老舗ゆえの問題である販売員の高齢化、ベテランの大量離脱が委託販売チャネルの衰退に拍車をかけた。現在では、サロン網の縮小に歯止めがかかりつつあるが、失われた営業力をカバーできるほどの打開策は見出せていない。
 ポーラは、最高峰ブランド「B.A」やパーソナライズドブランド「アペックス」など、高機能・高付加価値型のハイブランド≠ナ美容に高い関心をもつ層を開拓してきた。このハイブランド路線は、現在の小林琢磨社長も踏襲しており、さらに加速させるべく新たな施策を展開している。

(続きは2026年3月19日号参照)