揺れる米MLMマーケット 米FTC、「虚偽の報酬説明」に照準絞る
会員個人も標的に

「虚偽の収入に関する説明は、労働者を誤解させるだけでなく、真に収入を得られる仕事から遠ざけてしまう」「ほとんどあるいは誰も達成できないと知りながら、虚偽の収入を謳って労働者を偽る会社に対して、FTCは躊躇なく措置を講じる」。
MLM大手のフォーエバリビングプロダクツ(以下FLP)をFTC法第5条違反で提訴し、和解したFTC(5月7日号3面既報)。4月14日のリリースで、クリストファー・ムファリッジ消費者保護局局長は、和解で禁じられた虚偽の説明について、これを他社が行った場合も厳格に対応する旨を述べた。
同氏の局長就任は、第二次トランプ政権が発足した昨年1月。消費者保護分野に堪能な弁護士で、第一次政権では消費者金融保護局局長を務めた。その道のエキスパートによる強い表明は、米MLM業界全体への警告とも受け取れる。
米国外を含む業界関係者が知る通り、FTCによるMLM企業の提訴は、これまでも数多く行われてきた。
一方、過去10年を振り返った場合、2016年のハーバライフの提訴・和解とビマの和解は、FTCが業界への圧力を更に強める転換点となったと言える(表参照)。
ハーバライフの和解条件は、2億ドルの和解金と報酬プランの抜本修正。後者は、小売を源泉とする報酬支払いのため、支払い額の最低3分の2が最終消費者か愛用者への販売に基づくことなどが求められた。
ビマの和解内容もハーバライフと同様。和解金は約2・3億ドル、小売に基づく報酬支払いが条件とされた。
19年にはアドボケアを提訴。同社は1・5億ドルの和解金に加えて、MLMの恒久禁止が条件に含まれ、業界を驚かせた。同社は提訴の5カ月前、MLM撤退とシングルレベルマーケティング、D2Cへの転換を表明していた。
業界で名の知れた大手に連戦連勝≠オていたFTC。この間、様々な形で業界に対する指導≠煖ュめ、内容は徐々に厳しさを増している。
一歩目は17年。FTC上級弁護士が「矯正チェックとコンプライアンスチェック FTCのハーバライフ訴訟およびビマ訴訟からの教訓」と題するブログ記事をWEBサイトで公表した。
2社の違法性のポイントを抽出。他のMLM企業が理解すべき原則にまとめ、虚偽もしくは裏付けのない報酬の説明がFTC法に反することや、会員でないカスタマーへの小売りに紐づいた報酬の支払いなどを示した。
ほぼ同様の原則は前年、米DSAカンファレンスの特別講演でエディ・ラミレスFTC委員長(当時)も述べていた。
18年には、MLMが遵守すべき「18カ条のビジネスガイダンス」を公表。前出の原則を18項目に分類し、より詳細に解説したもので、アドバイスの形で業界をけん制した。
