デジタル取引特商法検討会 「レスキュー商法」対策を議論

違法化検討、ネット広告と乖離した高額料金
事業者委員は「合理性」等の明確化を要請



 消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」(座長=大屋雄裕慶應義塾大学法学部法律学科教授)は5月18日の第5回会合で、いわゆるレスキュー商法(※)と、後出しマルチ・モノなしマルチの問題を中心に討議した。本稿では、レスキュー商法対策をめぐる同庁の方針、委員の意見をまとめる(次回でマルチ関連を予定)。

契約前の工事で現状
回復困難、処分対象に

 取引対策課の務める事務局は、PIO―NETベースの訪問販売の相談件数を「横ばい傾向」とする一方、このうち、レスキュー商法に関する相談は増加を続けていると説明。
 データとして、訪問販売の相談のうち、消費者がインターネット広告を見て事業者に「来訪要請」を行っていたケースを提示した(グラフ参照)。
 15年度の構成比は全体の4.1%だったところ、24年度は36.3%に大きく拡大。飛び込みや知人の紹介といった広告を介さない手法は、24年度が53.6%。15年度の82.7%から大幅に縮小している。
 遠藤幹夫取引対策課長は、このデータを根拠に「訪問販売自体が構造的に変化している」と述べ、レスキュー商法の増加の背景に指摘した。
 ネット広告がきっかけとなっている相談の上位の業種は、トイレ・排水管の詰まり修理、鍵開け・ロードサービス、害虫駆除、住宅の分電盤等の修理、家屋の電気工事をあげた。
 続いて、ネット広告がきっかけの訪問販売相談の7割が、想定より高額≠ニいった価格に関するトラブルであるデータを提示。金額の最頻値は、広告の金額が1000円〜5000円。これに対して、請求額は5万円〜20万円と開きがある。
 その上で事務局は、レスキュー商法で争点となりがちな「来訪要請(特商法の適用除外)」の判断とは別に、ネット広告の表示価格から「著しく乖離」した価格を合理的な根拠なく示した勧誘について、この行為自体を違法とする案を示した。
 事務局資料では、同案の参考となる現行法の規定として、「日常生活において通常必要とされる分量を著しく超える」商品等の契約が過量販売として禁じられ、行政処分の対象となっていることを取り上げた。
 また、レスキュー商法や点検商法で、契約を結ぶ前に工事等を行って強引に契約させ、クーリング・オフしても返金や原状回復、清算等の対応を行わなかったり、不当に遅延させるトラブルが目立つことを指摘。訪問販売の解約妨害に関する相談の16.4%が不対応・遅延とするデータを示した。
 消費者契約法が取消権を認めている不当勧誘行為の一つに、契約の申込・締結前に施工等を行って原状回復を困難にする規定があることに触れて、「特商法にはこのようなルールがない」「(特商法で)規制して処分の対象にする」案を示した。

返金の不履行・遅延
現行法「執行強化を」

 討議では、事務局の案に消費者側委員のほとんどが賛同した。
 島薗佐紀委員(弁護士)は、ネット広告だけでなくチラシ、マグネット広告なども対象とすることや、課徴金の導入、刑事罰の適用を意見。解約妨害の対策は、原状回復を困難にする行為を規制するのではなく、契約申込の前に工事等に着手して契約を迫る行為を規制するアイデアを述べた。
 また、ク・オフの申し出を受けた後、返金を行うまでの期間を法定化し、違反した場合に刑事罰を課すべきとした。

(続きは2026年6月4日号参照)