ダイレクトセリング化粧品 トレンドは「ハイブランドの体験価値」

ブランド刷新で強み再確認
主力事業のテコ入れは難航



 販売員の高齢化や消費者の購買行動の多様化などを背景に、ダイレクトセリング化粧品分野ではビジネスモデル改革への機運が高まっている。老舗・大手企業を中心にオンライン・オフラインを活用したOMO戦略を導入する動きが活発化するとともに、ブランドの大幅なリニューアルを実施するケースも増えている。「人と人のつながり」を強みとしたこのビジネスで培ってきたノウハウを活かしつつ、多様な入口を設け、現代の美容トレンドに即したブランドで事業基盤の再構築を図る狙いだ。美容市場では、医療分野を含め競争が激化しており、愛用者から長年の支持を集めてきた老舗企業においても、さらなる付加価値の創出が喫緊の課題となっている。

直面する課題
対策の効果は


 表は、本紙が2026年7月に実施した「第80回ダイレクトセリング実施企業売上高ランキング調査」をベースに、化粧品を主力商品とするダイレクトセリング(=DS)企業40社の直近実績をまとめたもの。40社のうち、ヤクルト本社は単体ベースの化粧品事業の売上高を「前期売上高」として掲載している。直近業績の増減率をみると、「増収」が6社で全体の15%となった。40社の総売上は3893億1700万円で、前期比1.0%減(卸ベース企業は9掛けで計算)。
 同売上高ランキング調査では、前期と比較可能な113社の売上高総額は1兆2905億3800万円で0.2%減。前回調査(2025年12月)と比べ増減幅は1.5ポイントのマイナスとなった。ダイレクトセリング市場全般ではここ数年、コロナ禍における低迷から脱却し、緩やかな回復基調がみられていた。消費者の購買行動においてもリアル回帰の動きがみられ、各社はサロンなど実店舗での営業を強化しているほか、商業施設やイベントにおけるブース出展など、リアルにおける顧客接点の創出にも積極的な姿勢がみられていた。しかしながら、物価高などを背景とする買い控えや美容分野における激化などを受けて、DS化粧品分野全体としては依然として厳しい環境にあることがうかがえる。
 DS化粧品分野は、販売員の高齢化、サロンビジネスの硬直化といった2つの大きな課題に直面している。特にコロナ禍を契機にこれらの問題が表面化し、多くの老舗企業において、改革は待ったなしの状況にある。例えば、最大手であるポーラは、リーディングカンパニーとして黎明期から業界をけん引してきたが、事業規模の大きさも相まって、先に挙げた課題の影響を最も受けたと言える。同社はコロナ禍の中でOMO戦略の導入に乗り出し、2023年には販売チャネルを横断して顧客情報を一括管理する「ポーラ プレミアム パス(PPP)」をスタート。リアル店舗やECなど、ポーラブランドへのさまざまな入口を用意することで、ユーザーのライフスタイルに合わせたかたちで商品やサービスを提案する体制を整えた。

(続きは2026年8月13日号参照)