消費者庁が破綻必至商法対策で具体的手口、早期に「注意喚起」
AIでPIOデータ分析、「手応え得られた」
専門家を国セン配置、全国巡回して手口を把握

第3の注意喚起
現在、消費者庁が行っている悪質商法の注意喚起は2パターンに分かれる(行政処分除く)。
一つは、特定の事案に触れていない一般的な注意喚起。例えば、著名人を騙ったSNSアカウントで持ち掛けられる儲け話≠竅Aスキマ時間を利用した副業で高額報酬が得られると謳いながら事前に振込を求める業者≠ネどだ。
もう一つは、消費者安全法による社名公表。安全法の虚偽・誇大広告規定に違反しているとして、水漏れ修理のレスキュー商法の事業者を発表した事例などがある。
今回、同庁が目指すのは、2パターンの中間に位置する「第3の注意喚起」となる。
特定の事案について、事業者名を伏せた上で、取り扱われている商品やサービス、勧誘の方法などの具体的手口に関する情報を発信する。ある程度の具体的な中身をともないつつ、社名公表の証拠固めの手間を省く。
多くの消費者が莫大な金銭被害を生じる可能性が高い事案に狙いを絞っていることも特徴だ。
高利率をうたい文句に出資を募り、当初は配当を行うが、実態は集めた資金を配当に回す自転車操業で、次第に入金が遅れ、最終的に破たんする――。ジャパンライフ、VISION(旧WILL)、安具楽牧場などの大型事件は枚挙に暇がない。
準備室、職員は併任
安全法を執行する消費者政策課に「早期警戒準備室」(以下準備室)を9月1日付で設置。人員は15人程度を配置する。ただし、ほとんどは他の部署や業務との掛け持ちとなる。
準備室開設に至る前段として、昨年11月、衆院予算委員会で首相が破綻必至商法の有効な解決方法を同庁に検討させると答弁し、日下部英紀次長をトップとする「多数の消費者に深刻な財産被害を及ぼす詐欺的な悪質商法対策プロジェクトチーム」が急遽、発足した。
チームには、庁内を横断して各部署の職員が集められ、今回の政策をとりまとめた。チームに携わった各部署の職員が準備室を併任している。
同庁は27年度の概算要求で、準備室関連の新規予算2億6000万円と新規人員6名を要求。予算と専従の職員が認められるかどうかで実効性が左右されてくる。
一方、「第3の注意喚起」は、発信していく具体的手口の中身以上に、そのスピードが肝となる。
消費生活センターに寄せられる相談が増え始めた頃には、集めた資金は配当に回り、首謀者らに浪費され、被害回復は非常に困難なケースが大半だからだ。そこで、いち早く兆候を掴むための武器として、AIを活用していく。
「相談概要」を分析
PIO―NETは、相談者から聞き取った内容を相談員が500文字以内にまとめた「相談概要」が、年約90万〜100万件の規模で蓄積されている。「相談概要」のうち、悪質商法関連の記載があるものをAIで抽出・分析して、候補をあぶりだす。
