ダイレクトセリング化粧品 フックアイテムにみるブランド戦略

「深堀り」か「新規開拓」か 機能性と独自性を反映



▲装いを大きく変えた新「リンクルショット メディカル セラム」(ポーラ)


▲恒例のばら園イベント「ローズウィーク」でもミスト状化粧水「NUMIST」を紹介(オッペン化粧品)
 国内化粧品市場では、商品の高付加価値化、ハイブランド化が進んでいる。研究開発力の向上を背景に高品質の製品が多く投入されていることや、消費者の美容意識の高まりを受けて、普及価格帯から高価格帯の幅広い層で高機能・多機能の化粧品が求められるようになった。ダイレクトセリング業界では、もともと高機能・高付加価値のハイブランド化粧品を強みとしてきたが、美容分野全体でクオリティが高まっていることを受けて、各社がさらなるハイブランド化に注力している。他方、新規ユーザーにとってブランドの入口となる��フックアイテム�≠ノついては、各社が今後拡大していきたいユーザー層に合わせた、その企業ならではの特徴がみられる。

コアユーザーの深堀りねらう


 ポーラが2027年1月1日にリニューアル発売する「リンクルショット メディカル セラム」(20グラム・税込1万5400円)は、業界関係者のみならず、コアユーザーにもよく知られている製品の1つだ。今では��シワ改善�≠�うたうアイテムは数多く流通しているが、そのきっかけとなったのが2017年1月に発売された初代「リンクルショット」だ。シワは、シミなどと並んでエイジングケアのニーズが高い肌悩み。日本初の��シワ改善�*�用化粧品である「リンクルショット」は、これまでに約522万本を販売、約201万人が体験してきたという。初年度は、発売9カ月で約80万本、約112億円を売り上げ、業績へ大きく貢献した。「リンクルショット」はその後、2021年に2代目を投入し、今回は3度目のリニューアルを果たすことになる。
 競合商品が増えたものの、「リンクルショット」の知名度は未だに高い。今回のリニューアルでは、機能性を強化したことに加え、パッケージデザインも大幅に変えて新鮮さをアピールしている。「リンクルショット」は、主力アイテムの「メディカル セラム」をはじめ、2剤方式の「デュオ」や「ジオセラム」などシリーズ品を展開しているが、ビビッドなオレンジをブランドカラーに設定して訴求してきた。一方、新「リンクルショット」では外箱には従来のブランドイメージを踏襲したオレンジカラーを採用しつつ、容器にはナチュラルカラーを採用。「リンクルショット」は、ポーラブランドの強力なフックアイテムとして位置づけられているが、ブランドイメージの方向性を変えることで、既存ユーザーには目新しさを訴えつつ、スキンケアブランドに多いナチュラルカラーを採用することで、それまでアプローチできなかった女性層、さらには男性ユーザーへの訴求も強めている。
 では、「リンクルショット」で拡大を狙うマーケットはどこかと言えば、やはり美容に高い関心をもち購買意欲が旺盛なコア層だろう。「リンクルショット」の販売価格は約1万5000円と、ポーラのブランドに比べれば購入しやすい。単品使いできるという製品特性も大きなポイントで、これを導線として、最高峰ブランドの「B.A」や、パーソナライズドブランドの「アペックス」といったハイブランドへつなげたいところだ。ポーラブランドでは顧客数が減少する一方、顧客1人あたりの単価は上昇傾向にあり、コアユーザーの深堀りによって収益基盤の回復を図っている。現在、同社は「B.A」を大々的に展開し、国内外で新規顧客の掘り起こしを図っているが、「リンクルショット」でこれを加速させることができるか注目される。

ストーリーと使用感で訴求


 オッペン化粧品が2025年12月1日に発売したミスト状化粧水「NUMIST(ニューミスト)」(90ミリリットル・税込3300円)は、ポーラの「リンクルショット」とは対照的なフックアイテムと言えるかもしれない。「NUMIST」は、オッペンの他のラインナップと独立しており、単品使いも可能という点では「リンクルショット」と同じだが、コンセプトやターゲット層は大きく異なる。「リンクルショット」があくまでのハイブランドの1アイテムとしてコアユーザーへ訴求しているのに対し、オッペンの「NUMIST」は、誰でも手に取りやすく手軽に使えるアイテムとして、年齢・性別問わず幅広いユーザー層へのアプローチを想定している。


(続きは2026年10月22日号参照)